ネビル・シュートの超有名SF.本当の意味での“人類の時間”の終わりを真っ向から描いた作品というのは,意外と珍しいのではないだろうか.まあ,解説のとおり,ここまでの完成度のものが既にある状況では書きづらいというのが本当のところなんだろうけど.
読みながら,自分ならどうするだろうということをずっと考えていた.終わりまで数週間となっても,結局この田舎の町にとどまって同じことを続けていそうな気がする.作中の軍人がそうであったように,永遠に読まれることもない報告書なんてのをまとめながら.(そして,それはいつものようにギリギリ間に合わなくなって,不本意な出来のまま最後の時となるんだろう)
物語の構成としては,オーストラリア人の中に,アメリカ人を組み入れたことが成功していると思う.それが,最終局面で繰り返される,印象深いせりふ「うちに帰る」を引き立てる.解説はそれを“狂気”と書いているけれども,僕はそうは考えなかった.そして物語は整然と唐突に終わりを迎える.あたかも,物語を写しだしていたカメラまでもが沈黙してしまったかのように.
実のところ,あるところで“泣けるSF”のひとつとして挙げられているのを見て読んでみた.でも,“泣ける”というよりも“静かなSF”だという印象の方が強かったし,それが著者の意図なんではないかと思った.
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