価値観というものは個人個人で違っていてしかるべきものであって,他人のそれを許容できる人間どうしがクラスタを形成して,共存していくというのが現在の日本における一般的な人間関係であると思う.ただ,そういった中にあって,ころころと自分の主張を変え続ける人間がいて,(僕はそういう人間を決して許すことができないのだけれども)あるいは,自分の主張を他者や他のクラスタに押しつけようとする輩があって,必ずしもこういった社会のありかたは安定的ではない.
この国にあっては,一般的な個人のありかたといった,“総意”とでもいうべきものが存在していて,そこからはずれていくものがあると,徹底的に攻撃する.それに屈することなく,生き抜いていくのは非常に疲れることだし,普通そういった人々はクラスタを形成するのをいやがるから,共感してくれる人も少ない.
本作は,そういった“総意”から外れて,その上でなんとか生きようとする個人のありかたを「ラッシュライフ」ライクに描いた作品集.135回直木賞受賞作.
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