2010/01/01

道の先

「香折はもう二度と目を覚ますことはない,そうはっきりと感じた」(一瞬の光 / 白石一文)

 正月から仕事なのかよと思いつつ,日直をこなして下宿に帰ったあと,もう少し先に決着をつけようと考えていた案件に唐突に決着がついた.いままで口にだしたことなど一度もない言葉をいくつか言う羽目になったのだけれども,とにかく結論に達することができた.とてもうれしいはずなんだけれども,ぼんやりと頭に浮かんだのは冒頭の一文だった.何かを得たというよりも,何かを失ったという思いの方が強いように思う/思った.この感覚は,僕の中にある何らかのメカニズムを強制的にシャットダウンしたことによって生じたものなのかもしれない.できれば,そうであってほしいし,そんなことを考えている自分は本当に最低だとも思う.

 ただひとつだけ確実に今後心にとめておくべきことだけはわかっているつもりだ.

「でもそのときの僕にはわかっていなかったのだ.自分がいつか誰かを,とりかえしがつかないくらい深く傷つけるかもしれないということが.人間というのはある場合には,その人間が存在しているというだけで誰かを傷つけてしまうことになるのだ」(国境の南,太陽の西 / 村上春樹)

あるいは,僕が,そのような可能性すらある関係になることを恐れているからこそ,前述したような感覚をもったのかもしれない.ただ,どんな結末を迎えるにせよ,こんな述懐をせざるをえなくなるようなことだけは決してしないこと.それを今年の(願わくば,今年以降の)目標としたい.

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