「M8」というのは高嶋の前作であり,東京における直下型地震を描いた作品.M8もなかなか示唆に富んだ内容だったけれども,日本を地震国としてとらえた場合絶対に切り捨てられないのが,“津波"による被害である.ということを考えると,高嶋が今作のテーマとして津波を選択したのは必然かもしれない.
ストーリーは前作と同様に,サイエンス・政治・災害支援の3つの観点から展開する.それぞれの立場に,離れがたい境遇を共有する,ある街出身の同級生を配置しているところが,高嶋の力量といえようか.とはいえ,この舞台背景は前作において既に完成されていたものであって,その点からみれば今作の目新しさを減弱しているといえなくもない.
時間とともに,多くのものは失われてしまう.同一の時間軸上で出来事が展開する以上それは不可避のことである.ただ,我々は学ぶことができるはずなのだ,本来は.この作品の中の日本は,「M8」での経験をある程度は学ぶことが出来ていたようだ.では,現実に我々はどうだろうか.“いつか起こるかもしれない"ということは,それがこの次の瞬間であるかもしれないということである.それを肝に銘じておくことが必要なのだということを感じた.
(だからといって,何をしたというわけではないんだけど…….そういうところが,後々になって致命傷になるんだよなぁ)
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