年末,O田氏からこういう話を聞いた.“人間は一人で生きていけるようになろうとしている”.いわゆるオートメイションだとかそういった方面の技術開発というものは,そのためのものだといえる.反語的にとらえれば,“人間は一人では生きていけない”ということになるけれども,それは本当のことであるように思われる.
帰省の途中で,盛田隆二の「夜の果てまで」を読んだ.人生が狂っていく課程を描いた作品はいろいろとあって,そういうものを好んで読んだころもあった.この話もそのテーマに属するものであり,含まれている絶望は何かしら僕自身を動かすものがあるようにも感じた.とはいえ,昔に比べて心動かされるというようなものの大きさは小さくなってきたようにも思う.今,絶望と書いたものの,それは多くの読み手が感じるであろう,“想像の”絶望であって,“ストーリーの中で”生きている者が感じている絶望ではない.
幸福を定量できないように,不幸もまた定量できない.
であるからこそ,僕らは一人で生きていかなければならない.ただ,それはどうしても不可能なことであり,それ故に僕らは漠然とした不安感から逃れられないのではないだろうか.
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